マザー症候群
 
 「いいえ。先輩にはいつもお世話になっていますので。じゃ、料理が出来上がりましたので。私はこれで」
 「いいじゃないの。井本ちゃん。一緒に頂きましょうよ。料理もたくさんあることだし。ねえ、いいでしょう波斗」
 帰りかけた井本を美波が引き留めた。
 「ああ。そうね。・・・手伝ってもらったしね。良かったらどうぞ」
 波斗が道瑠の横顔を盗み見た。
 (波斗の馬鹿が。どあほ!なぜよ。何故なのよ。どいつもこいつも)
 と、道瑠心の中で。
 怖い目を見て、波斗は道瑠の心境をある程度推察する事が出来た。
 「波斗もああ言ってるし、井本ちゃん、一緒に頂きましょうよ」
 美波の説得に井本が応じた。そして、4人は気まずい雰囲気のうちに食卓テーブルの席についた。


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