マザー症候群

 道瑠が鯵の南蛮漬けを口に。
 (何やこの味?)
 (腹が立つほど旨い)
 道瑠、料理の味に感心しまくり。
 (どれもこれも。料亭の味やん)
 (げえ、波斗ママは料理の達人だ)
 (やべえ)
 道瑠は腹が立つのも忘れるほど、料理に舌鼓を打っていた。そして、視線を料理から井本に移すと。
 あかん。
 井本と視線がバチンと合った。
 まるで火花が飛んだよう。
 (何や。文句あんのか。はよ、いにさらせ。くそったれが)
 道瑠が心の中で啖呵を切った。
 その視線の激しさに井本は。
 (何やの。その目は。まるで獲物を狙う豹の目ね。獲物は波斗さん。まだまだ、勝負はこれからよ)
 井本が心の中で呟いた。


 
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