マザー症候群
すかさず、井本が視線を道瑠から波斗に移すと。
「波斗さんはハワイで留学されていたんですよね。どうでした」
と、いきなり波斗に語り掛けた。
「えっ、ああ。留学に行ったというより、バイトに行ったようなもんですよ」
波斗がうろたえながら。
「どんなバイトをされていたのですか」
「ポリネシアランドという民族芸能を集めたテーマパークがあるのですが。そこで日本人観光客を相手に
ガイドを」
「わあ。素敵なバイトですね。憧れるなあ。そのバイトは・・・」
井本が喋っている最中に、道瑠が割り込んできて。
「ねえ、波斗。就職は決まりそう。決まったら一緒に暮らせる?めっちゃ、楽しみやわあ」
「うっ、う~ん」
道瑠が突然話し掛けてきたので、波斗が困り顔に。