マザー症候群
 
 すかさず、井本が視線を道瑠から波斗に移すと。
 「波斗さんはハワイで留学されていたんですよね。どうでした」
 と、いきなり波斗に語り掛けた。
 「えっ、ああ。留学に行ったというより、バイトに行ったようなもんですよ」
 波斗がうろたえながら。
 「どんなバイトをされていたのですか」
 「ポリネシアランドという民族芸能を集めたテーマパークがあるのですが。そこで日本人観光客を相手に
ガイドを」
 「わあ。素敵なバイトですね。憧れるなあ。そのバイトは・・・」
 井本が喋っている最中に、道瑠が割り込んできて。
 「ねえ、波斗。就職は決まりそう。決まったら一緒に暮らせる?めっちゃ、楽しみやわあ」
 「うっ、う~ん」
 道瑠が突然話し掛けてきたので、波斗が困り顔に。


 
< 59 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop