マザー症候群

 前回経験した時の恐怖が蘇る。
 頭の中は、真っ白、空っぽ、開き直り状態。
 バックスリルコースターが高さ45mまで不気味に上り出す。次の瞬間。後頭部から急降下。
 道瑠は、背中から釣り上げられた後、天を見上げて。
 「ばっきゃ野郎~」」
 と、腹の底から大声で叫んだ。
 「キャー」
 「ギャ~」
 それは、前後の席から上がる女性客の叫び声とハモり魂の叫びとなった。
 「気持ええわ~」
 道瑠は、後頭部から吹き抜ける突風をとても清々しく感じていた。
 「変わったるで」
 「後ろ向きで接してやるから。覚えときや」
 バックスリルコースターから降りると、道瑠はある決意をしていた。


   
 
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