マザー症候群
料理が出来上がった頃、タイミング良くチャイムが鳴った。
「きたーー。鴨がねぎしょってやって来たー。しとめたる~。覚悟しいや」
道瑠が急いで玄関へ。
「よっ!」
波斗、笑みを浮かべて。
「おめでとう。めっちゃ、嬉しいわ」
と、言うなり道瑠、波斗に抱きつく。
暫し、ラブシーン。
むにゃ、むにゃ、むにゃ。
「波斗、上がって」
ラブシーンが終わると、道瑠が波斗の手を引いて中へ。
ちなみに道瑠のマンションは1LDK。 奥に8畳の洋室がある。
「座って」
波斗、食卓テーブルの席につく。
「就職おめでとう」
「ありがとう」
「さすが波斗。決める時は決めるやん」
「まあね」
「波斗が頑張ったから、うちもな。めっちゃ腕を振るったんやんから」
道瑠が右腕をL字にし、左拳でそこをぽんと叩いた。
「そんなに気合入れなくていいのに」
「そうせなあかんねん。波斗のいいお嫁さんになる為にはな」
道瑠がいいお嫁さんという言葉をさりげなく使ってみた。