マザー症候群

 料理が出来上がった頃、タイミング良くチャイムが鳴った。
 「きたーー。鴨がねぎしょってやって来たー。しとめたる~。覚悟しいや」
 道瑠が急いで玄関へ。
「よっ!」
 波斗、笑みを浮かべて。
 「おめでとう。めっちゃ、嬉しいわ」
 と、言うなり道瑠、波斗に抱きつく。
 暫し、ラブシーン。
 むにゃ、むにゃ、むにゃ。
 「波斗、上がって」
 ラブシーンが終わると、道瑠が波斗の手を引いて中へ。
 ちなみに道瑠のマンションは1LDK。 奥に8畳の洋室がある。
 「座って」
 波斗、食卓テーブルの席につく。
 「就職おめでとう」
 「ありがとう」
 「さすが波斗。決める時は決めるやん」
 「まあね」
 「波斗が頑張ったから、うちもな。めっちゃ腕を振るったんやんから」
 道瑠が右腕をL字にし、左拳でそこをぽんと叩いた。
 「そんなに気合入れなくていいのに」
 「そうせなあかんねん。波斗のいいお嫁さんになる為にはな」
 道瑠がいいお嫁さんという言葉をさりげなく使ってみた。


 
< 73 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop