マザー症候群

 「可愛い子じゃない」
 と、美波が意地悪い目で。
 「あいつ部長に何を」
 「俺の男に手を出すな、ってね」
 「何を血迷ったことを」
 游が小さく舌打ちをした。
 「どうして私の事がわかったの」
 「迂闊にもあいつにスマホの待ち受け画面を見られてしまって。ご迷惑お掛けしてすみません」
 「それで問い詰められたか」
 「20歳以上も年上の婆さんだから。あっすみません。そう言う意味じゃ。と言ったんたんですが」
 「そしたら婆さんだって雌だし、美人だし。ってあの馬鹿が言いやがるんで」
 弁解する時は、顔を真っ赤にしていつになく饒舌な遊。
 美波の写真を待ち受け画面を取り込み彼女に問い詰められているどじな遊。そんな遊が、美波はには何だか愛おしく思えた。


 
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