マザー症候群

 「待ち受け画面は、彼女の写真に変えてあげて」
 と、美波が命令口調で。
 「えっ、待ち受け画面をあいつに変えるんですか。このままじゃ駄目ですか」
 游は美波の提案が気に入らない様子。
 「ええ。そうしないともうあなたに会えなくなるわ」
 「わかりやした。そうしやす」
 「それから、彼女の事余り叱らないでね。むしろ、可愛がってあげてね」
 美波、游とは結婚する気など毛頭ない。游はただのペットフレンド。彼女がいてくれた方が、美波には気が楽だった。
 凛からナイフを喉元近くに突き付けられた事を、美波は游には内緒にしていた。
 若い二人の仲を決して壊したくなかったから。


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