マザー症候群

 「まじかよ~。俺の早合点か。そうだよな。あんな婆あ。游には可愛そう過ぎるよな~」
 凛、満面笑みに。
 「待ち受け画面は凛に限る。若いし。第一美人だし」
 游は心にも無い事をぬけぬけと。
 「メガ嬉しい」
 凛が游に抱きついた。
 「なあええやろ」
 「ああ」
 遊はサービス精神をとことん発揮した。
 美波との約束を果たす為に。
 游は凛を息絶え絶えに抱き締めた。
 頭の中は、100パーセント美波の事を考えながら。
 青い果実は、熟れた果実よりも何倍も味気なかった。
 游はただ虚しさだけをじんわりと噛み締めていた。


 
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