マザー症候群

 波斗は悩んでいた。
 道瑠との結婚のこと。どう母親に打ち明けるべきか。
 悩みに悩んだ末。
 波斗は腹を決め、正直に自分の気持ちを打ち明ける事にした。
 夜。食事の片づけが終わった頃を見計らって。
 「お袋、話があるんだけど、今いいかな」
 と、波斗は勇気を振り絞って美波に声を掛けた。
 「話って何?」
 いつになく笑顔の美波。機嫌はいいみたい。
 「じつは、結婚をしたいんだ」
 波斗が結婚と言うなり美波の顔がひきつった。
 「あの女と」
 「いいだろう」
 波斗が懇願するように。
 「私は反対よ。あんなゲスな女、どこがいいの」
 「俺は気に入っているけど」
 「ああ、そう」
 「なあ、結婚しても構わないだろう」
 「私は絶対反対よ。それでもしたいのなら勝手にすれば」
 美波、この結婚には何が何でも反対するつもりだ。


 
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