マザー症候群

 ある国が他国を支配したい時、実力行使でそこを支配し、自国のものと成す。
 (これだ。実力行使だ)
 (家を出て、結婚生活を行う。子が出来た時、結婚を認めざるを得なくなる)
 (つまり、事後承認か)
 (よし、これで行こう)
 漸く、波斗の考えが纏まった。
 「お袋、俺家を出るよ」
 「家を出る?」
 家を出るという全く予想もしない行動の仕方に、美波は驚いた。
 「いつ家を出るつもり」
 「このままあいつの家に転がり込むのは嫌なので、家を探してからになるけど。お袋が許してくれたらの話だけどね」
 「私はいいよ」
 「じゃ、それで決まり」
 波斗は話が済むと、さっさと部屋に引き上げて行った。
 美波、思案六歩。
 (波斗が家を出る)
 (このままだとあの女と実質結婚生活に)
 (駄目駄目。それだけは阻止しないと)
 (で、どうする。時間は限られているぞ)
 (井本ちゃんに賭けてみるか)
 (よし、それで行こう)
 美波は、最後の一手にこれからの運命を掛けてみる決意でいた。
















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