【短編】隣の君に恋する瞬間
2人きり
「ごめんなー、久保のやつが見せてくんねーから」
本当に悪いと思っているのかわからないけど。
放課後2人きりの教室で、矢野くんは書きとらなかった理科のノートを、私の理科のノートを写す。
「久保くんは悪くないでしょ?メガネかけない矢野くんが悪いよ」
「…だから壊れたんだって」
「本当ー?じゃあ引き出しの中見てもいいの?」
「変態」
「え、なんでよ!」
咄嗟にツッコんだ私をみてクククッと笑った矢野くんの右手には、いつも通りクマのシャープペンが握られている。