【短編】隣の君に恋する瞬間
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「さっきの講演を聞いての感想、書けたやつから帰っていーぞー」
翌日の最後の授業。
総合学習で聞いた講演の感想を体育館から帰ってきて、教室で書く。
20行ぐらいある感想用紙。
正直、眠くて話をあまり聞かなかった。
でも…書かなきゃ帰れないもんね。
私は、記憶をたどりながらゆっくりと感想を書いていく。
「…ペン貸して」
…え?
隣からいきなり、低くてでも透き通るような声が聞こえた。
今の…。
私はゆっくり顔を上げて、横を向いた。
矢野くんの…声?