【短編】先輩を独り占めしたくて。
番外編*名前
先輩と付き合えて、もうすぐ1ヶ月になる今日この頃。
付き合えた途端、甘えん坊になった先輩は、人前なのに抱きしめたりしてくるけど、それが愛の形なんだろうな、なんてクサいことを思う。
「……ねえ。俺不満」
「………はい?」
この寒い空の中、あたしたちは2人きりになれるからという理由で、外でお昼を過ごしていた。
けれど、幸せな空気が一転、先輩の冷えた口調が空に突き刺さる。
「何が不満なんですか?」
「俺たち、付き合ってんのに、なんで名前で呼んでくれないの?」
……んん?
確かに前に、先輩には『下の名前で呼んで!』って言ってたけど……。