【短編】先輩を独り占めしたくて。
「呼んでますよ?『悠先輩』って」
「………はあ」
先輩の、重たーい溜め息が聞こえたかと思ったら、先輩がぎゅっとあたしを抱き寄せて、あたしの耳に唇を寄せた。
「……雪姫」
「……!」
すごい低い声で、色気たっぷりに呟いた先輩に、思わず背中がぞわり、と震えた。
いつもの先輩とは違う呼び方に、あたしはドキドキする。
「って、呼んでってこと」
「へっ?」
にっこり笑って、あたしから離れた先輩の声は、いつもどーり、明るくハキハキした声で。
……今のは完っ全に、からかわれた!!