【短編】先輩を独り占めしたくて。


「呼んでますよ?『悠先輩』って」

「………はあ」


先輩の、重たーい溜め息が聞こえたかと思ったら、先輩がぎゅっとあたしを抱き寄せて、あたしの耳に唇を寄せた。


「……雪姫」

「……!」


すごい低い声で、色気たっぷりに呟いた先輩に、思わず背中がぞわり、と震えた。

いつもの先輩とは違う呼び方に、あたしはドキドキする。


「って、呼んでってこと」

「へっ?」


にっこり笑って、あたしから離れた先輩の声は、いつもどーり、明るくハキハキした声で。

……今のは完っ全に、からかわれた!!


< 28 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop