【短編】先輩を独り占めしたくて。
「わ、わかりました、呼びます!」
「おお。じゃ、今すぐ呼んで?」
そのつもりです、わかってます。
あたしは、小さく何度も深呼吸をして、心の中で、しつこいくらいに大好きな名前を呼んだ。
よしっ。いける、と思う。
「……ゆ、」
「ん?」
「ゆ……悠…」
それはもう、消え入りそうな感じだったけど、一度呼んだらすっきりして、「悠!」って、抱きついた。
………なんて大胆な。
「……うん、可愛い」
「えへへ」
「じゃあ、これを機に敬語もやめよーねー?」