【短】熟年愛
私は急いでそのまま受話器を置き、玄関に向かう。


慌てながらも、必死にチェーンを外して


扉を開けた。


すると……


「よぉ。」


1週間ぶりの、彼の顔。


「どうしたの?」


私は動揺を隠し、そっけない態度をとった。


「いや、もう少し早く来たかったんだけど……やっと仕事が片付いて。悪い、日付、変わっちゃったな。」


え?


確かに日付は変わり、私の誕生日は終わってしまったけど……。


「別にそんなの気にしなくても……いつも当日には会わないじゃない。」


やっぱり冷たく言ってしまう私は、かわいく無い。


こんな時、素直に喜べれば……。





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