【短】熟年愛
こんな時間に……誰?


……まさか……ね。


丁度、枕元に置いてあったタオルで涙を拭いた。


ふぅ……。


深呼吸をして、鏡で顔を確認した。


ヤバい。


目が少し赤い……。


それでも、ほんの少し期待を抱いているから……。


訪問者を、迎えなければいけない。


「コホンッ。」


咳払いを一つして、インターホンの受話器を上げた。


「……はい。」


恐る恐る声を掛け、相手の名乗りを待った。




『……俺。』


「……ッッ!!」


少し間をあけて、受話器から聞こえた声の主は……


先程まで、頭を抱えていた悩みの種。



――彼が


やって来た。



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