言わなきゃわからない?
お店を出ると、二次会に行く人、帰る人でわかれていた。


「由貴ちゃんは?」

「彼氏が迎えに来てるので帰ります」


由貴ちゃんの視線の先には、スーツ姿の男性がいた。
会社とはまた違う、やわらかい表情を浮かべている。


「相田さんは?」

「あたしも帰ろうかな」

「駅まで一緒に行きましょうか」

「いいよ。大丈夫」


まさか、二人の邪魔をするわけにはいかない。
由貴ちゃんを見送り、二次会へ行く人達に挨拶をして、あたしも駅に向かって歩く。


「相田さん」


名前を呼ばれ、振り向くと小西さんがいた。


「小西さん…。こんばんは」


驚いた表情を隠しながらとりあえず挨拶をする。
小西さんはあたしの隣りに並んだ。


「飲み会ですか」

「はい」

「オレもこの近くで飲んでたんです」


偶然ですねと、小西さんが言った。


「帰るんですか」

「はい」

「じゃあ、駅まで一緒に行きましょう」


断る理由も思い浮かばず。
あたしは小西さんと駅まで一緒に行くことになった。
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