言わなきゃわからない?
少しの間のあと、栄さんが言った。
あたしを覗きこむ。
「何ですか、急に」
あたしは冗談を笑い飛ばすように言う。
しかし、栄さんは至って真面目。
「最近、帰るの早いし何かあったのかと思って」
「残業することが良しとされてるのはおかしいじゃないですか。残業しないで、仕事はいつも通りなのはいいことですよね」
「まぁ、そうだけど」
栄さんはそんなことを聞きたかったわけじゃないと思う。
でもあたしは話題をずらした。
「戻らなくていいんですか」
これ以上、何も探られないように。
あたしは会場へ戻るように促す。
「取引先に挨拶してて、ほとんどのところに『相田さんは?』って言われた」
「え…」
「挨拶くらいしとけ」
栄さんはあたしの空いたグラスを持った。
行くぞと視線を投げられる。
あたしはスマホを取り出し、運営スタッフの一人にこの場を離れることを伝えた。
スツールから立ち上がると栄さんは不思議そうな表情をしている。
「視線が近い」
「あ、今日は7cmヒールなので」
あぁ、と納得したように頷き、栄さんがあたしをじっと見る。
「いいんじゃない」
そう一言残して、会場のドアを開ける。
あたしはそんなこと言われるなんて思ってなくて。
びっくりして、一瞬固まった。
あたしを覗きこむ。
「何ですか、急に」
あたしは冗談を笑い飛ばすように言う。
しかし、栄さんは至って真面目。
「最近、帰るの早いし何かあったのかと思って」
「残業することが良しとされてるのはおかしいじゃないですか。残業しないで、仕事はいつも通りなのはいいことですよね」
「まぁ、そうだけど」
栄さんはそんなことを聞きたかったわけじゃないと思う。
でもあたしは話題をずらした。
「戻らなくていいんですか」
これ以上、何も探られないように。
あたしは会場へ戻るように促す。
「取引先に挨拶してて、ほとんどのところに『相田さんは?』って言われた」
「え…」
「挨拶くらいしとけ」
栄さんはあたしの空いたグラスを持った。
行くぞと視線を投げられる。
あたしはスマホを取り出し、運営スタッフの一人にこの場を離れることを伝えた。
スツールから立ち上がると栄さんは不思議そうな表情をしている。
「視線が近い」
「あ、今日は7cmヒールなので」
あぁ、と納得したように頷き、栄さんがあたしをじっと見る。
「いいんじゃない」
そう一言残して、会場のドアを開ける。
あたしはそんなこと言われるなんて思ってなくて。
びっくりして、一瞬固まった。