言わなきゃわからない?
「あれだけ飲んだら具合悪くもなるだろ」

「すみません…」


あたしは栄さんに付き添われ、控室に戻って来ていた。
イスに座りテーブルに突っ伏す。


「グラスが小さいからって、勧められるたびにカパカパ飲んで」

「おいしかったんですよ」

「しかも何も食べてないだろ」

「…はい」


栄さんと取引先に挨拶をしてまわった。
取引先の人に会うたびに、あたしはスパークリングワインの入ったグラスを空にしていった。

結果。
気持ち悪い。

栄さんの呆れたような声が頭の上でする。
ため息までしている。


「水持ってくるから、大人しくしてろ」

「すみません…」


動けそうにないので心配いりません。

ドアの閉まった音がした。
受付の仕事、出来そうにない。
ポケットからスマホを取り出し身体を起こす。
あたしは丁寧に謝罪文を作成した。
メッセージの送信が完了したことを確認し、スマホはテーブルへ。
あたしはまた突っ伏して目を閉じた。

このまま、ここで大人しく隠れてよう。
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