あなたの空に向かって I Love You
第1話 ずっと続けている日課
 ぼーっと空を見上げているうちに、六時間目の終業のチャイムが鳴った。

 先生が教室から出て行くと、クラスのみんなが一斉に席を立ち、教室は一気に騒がしくなる。

 椅子や机を引きずる音。

 クラスメイトの足音に話し声。

 メールやLINEの着信音。

 意味不明なことを叫びながら、教室を走り回る男子。

 黒板消しの煙がもうもうと立ち込める。



 あたしは自分の席に座ったまま、またぼーっと空を見上げる。

 今日も、ほとんど勉強しなかった。

 教科書も読まなかった。

 ノートに何も書かなかった。

 シャーペンの芯は全く減っていない。

 来年は高校受験が控えているけど、あまり勉強する気にはなれない。



「今日も部活休むの?」

「うん。いかなーい」

「そっか。じゃあ、また明日ね」

「うん。また明日ね」

 部活は楽しいけど、まだ行く気にはなれない。
< 1 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop