あなたの空に向かって I Love You
 三時五十七分、荒川登山口に到着。

 辺りは真っ暗。まだ誰もいない。

 暗い森の中を一人で歩くのは怖いけど、夫のために、とにかく頑張るしかない。

 あいにく、霧雨が降っている。

 レインコートを羽織り、タクシーから出た。

 冷たい風が吹いている。体感温度は、十度くらい。

 屈伸運動をして、リュックサックを背負い、頭にヘッドライトを装着。登山の準備完了。



「お一人で大丈夫ですか?」

 タクシーの運転手さんも心配している。

「大丈夫です」

 私は力強く答えた。

 私に何かあったら、きっと夫が助けてくれる。

 なので、私は大丈夫。
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