あなたの空に向かって I Love You
 彼女との思い出を懐かしみながら、俺は山頂を目指した。

 須走ルートは二回目だが、今回は一人。

 登るのも一人。休憩も一人。

 一人で登っている人は、俺の他にもいる。

 その人たちを見ていると、登る気力が湧いてくる。



 一生に一度は、富士山に登る。

 何かの記念として、富士山に登る。

 富士山頂からしか見られない絶景。

 満天の星空も、雲海から昇るご来光も。

 それぞれが、それぞれの目的を持ちながら、富士山頂を目指している。

 俺のような人は、他にはいないかもしれない。



 七合目に着いたぞ。今、どの辺りだ?

 八合目に着いたぞ。大丈夫か?

 もうすぐ、九合目だ。かなり寒いな。

 彼女にメールを送りながら、俺は山頂を目指した。
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