言えよ、俺が欲しいって。


「でも確かに。好きな人がいるのにデート行くって言うのはダメだったかもね」



それを、どれだけ思ったことか。
美結ちゃんに言われることで、またしても胸にグサッと突き刺さる。痛い、痛すぎる。
トドメを刺された気分。



「でも。七瀬くんには、それを決める権利はないんじゃない?」



「え?」



「だってそうでしょ。桃華のこと振ったくせに、俺のことだけ見てればいいなんて。そんなことある?」



美結ちゃんの言ってることが最もだ。
確かにそうじゃん。

七瀬くんは、あたしのこと振ってるし。
どれだけ好きと言っても全部逸らされる。

それなのに、肝心な時だけ。
いつも、好きの言葉とは違うけれど。


俺だけ見てればいいだとか。
嫉妬してるの?って聞きたいくらいだよ。

七瀬くんに限ってそんなことは無いだろうけれど。


…ん?でも。もしかして。



「七瀬くんは、あたしをキープしときたいのかな?」



ずっと好いてくれるのはあたしだけだから!?
もし何かあっても、あたしの元へ来れるように!?



「七瀬くんがそんなことすると思ってるの?」



「い、いえ…」



「でも、なんでだろうね?嫉妬してるのかな?」



美結ちゃんでも、やはり、七瀬くんの気持ちまではわからないご様子。

気持ちなんて本人にしか分かんないもの。
しょうがない。


ドキドキ鳴る心臓。

嫉妬してくれてたらいいのに。
そんなこと思うけど、昨日のことを思い出すとそれはないと思うんだ。

だってね。
笑いながら余裕そうに言ってたんだもん。

むしろ、あたしのこと馬鹿にしてたよ。

どれだけ告白しても好きって言っても届かないのかな。

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