言えよ、俺が欲しいって。


昼休み。
あたしは、グダグダするのをやめて直接七瀬くんの元へ行くことにした。


七瀬くんのクラスへ行くと、弁当も食べてないで机に伏せて寝てる。

七瀬くん、いつも寝てる気がする。
そんなに眠いのかな…?



「な、七瀬くん…」



静かに七瀬くんの名前を呼ぶ。
顔を伏せているから寝顔も見えない。

フワフワした柔らかい髪が、窓を開けているから風で揺れている。

あったかい風。
これは、確かに眠くなるね。


あー…もう、夏なんだ。


七瀬くんと初めて話した時のことを思い出す。

あたし、暴れてたなぁ。
七瀬くんに向かってたくさんのこと言ったんだった。

そしたら、ネクタイをグイッと引っ張られて…。



「白咲?」



一人で思い出に浸っていると、七瀬くんが顔を上げた。

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