言えよ、俺が欲しいって。
あー、もう最悪すぎる。
やっぱり、いいことがある日は悪いこともあるのかな。
あたし、ダメなことしたからかな。
「じゃ、頑張れよ」
「はーい…」
佐野先生はそう言って、学級日誌を持って廊下を歩いていった。
そう言われれば、佐野先生は七瀬くんのクラスの副担だ。
いいなぁ。毎日、七瀬くんのこと見れるなんて羨ましいよ。
あたしは、Uターンをして自分の教室へ戻る。
溜息をつきながら席に座って貰ったプリントに取り組む。
数学なんて嫌い。
こんなの分かるわけないじゃん!
なに、ベクトルって!!
15分間くらい目の前のプリントと格闘するけれど一問も自信を持って解けた!と言える問題がない。
馬鹿だ。馬鹿すぎる、あたし。
気分転換に、スクバの中から財布を出して教室を出る。
自販機でも行って、ジュース買ってこようかな。
気づいたらもうほとんど学校に残ってる生徒なんかいない。
いたとしても、部活してる人だけ。
あたしも、帰りたい!!