言えよ、俺が欲しいって。


そんなことを思いながら、自販機を前にする。



「何買うの?」



「え?」



後ろから聞こえてきた声。
気づけば、横に手があって。
目の前は自販機。

え、なに…?
後ろから壁ドン…!!

びっくりしすぎて、声が出ない。



「何とか言えよ」



「っ、」



すっごく会いたくない人だもん。
振り向きたくないのに。

男の人の力には敵うはずがない。
クルッと前を向かされる。

距離が近い。
また、キスされるんじゃないか。
そんなこと思ってしまう。

ダメダメ!!

あたしは、キッと目の前の相川くんを睨む。



「なんだよ、その顔」



「な、なに?」



睨んだのはあたしで、あたしは悪くないはずなのに。
相川くんの鋭い目でそういうことを言われたらどうしても怯んでしまう。

だめだめ、いけない!

こんな体勢もだめなんだから!

相川くんとは距離を置くってきめたのに!どうしてこんなに近づいてくるの〜!?

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