言えよ、俺が欲しいって。





朝。
リュックを担いで、家を出る。
家には、お母さんがいた。
お父さんは朝も早い。


学校へ向かっていると、運悪く白咲と遭遇。
うわ、昨日に引き続きこの偶然。



「七瀬くん!おはよう!」



「うん。おはよ」



「七瀬くん、LINE返してくれないんだもん。あたし、寝れなかったよー」



嘘つけ。
めちゃくちゃ寝ましたって顔してんじゃん。


そんなことを思いつつも、俺は歩くスピードを緩めない。
隣に白咲がいるけど。



「あっ、まって。七瀬くん」



なんで待たなきゃいけないの。
一緒に行くなんて言ってないのに。



「七瀬くん、あたしと一緒にいるところ見られたらダメだもんね…」



チラッと後ろを見ると、白咲は悲しそうな顔で下を見てそう言ってる。
うわ、出たよこれ。
白咲の必殺技。

自分では何も考えずにしてるんだと思うけど。

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