言えよ、俺が欲しいって。
それから今日一日、白咲は一回も俺の元へ来なかった。
白咲のことが気になるとかそんなんじゃない。
ただ、イライラする。
やっぱり女はみんなそんなもんかって感じ。
結局は、俺みたいなやつなんかじゃなくて、真逆の相川みたいなやつを選ぶ。
「七瀬くん!」
リュックを担いで教室から出た瞬間。
聞きたくない声が聞こえてきた。
本当、最悪。
全然会いたくないんだけど。
俺は、聞こえてないフリをして歩く足を止めない。
「な、七瀬くん…!」
それでも白咲の声が聞こえてくる。
パタパタと後ろから追いかけてくる足音が聞こえる。
会いたくない。
顔も見たくない。
どうしてこんなにイライラしてるの、俺。
意味わかんない。
自分の事なのに全然分かんなくて。