言えよ、俺が欲しいって。
「あんた、相川くんとデートしてたでしょ。しかも、手繋いでさ」
ビクッと跳ね上がる肩。
やっぱり…誰かに見られてたんだ。
当たり前だよね、人がたくさんいるんだもん。
「この、ビッチ!」
女の子が、もう1度勢いよく足を壁につける。
その度、ビクッと跳ね上がるあたしの肩。
こ、こわすぎる。
でもこうなったのも自業自得。
全て、あたしのせいだ。
この子達の言う通りだ。
ビッチと言われても仕方ないことしたんだ。
俯くと、ジワッと何かが込み上げてくる。
バカだなぁ、あたし。本当に…。
七瀬くんが好きなら、七瀬くんだけを見てればいいのに。
七瀬くんが好きなのは、今も変わらないのに。
すると、ガラッといきなり扉が開いた。
目を向けると、相川くんが立っている。
「お前ら、何してんだよ」
「えっ…と」
一人の女の子が相川くんから目を逸らして言葉をつまらせる。
なんでここに、相川くんが…?