言えよ、俺が欲しいって。


「モモ」



相川くんに名前を呼ばれて、赤くなっていた顔を隠している右腕を突然握られた。



「さっ、触らないで!」



その手をパシッと振り払う。
もう、自分の気持ちに嘘はつきたくないんだもん。

七瀬くんじゃないと、嫌だもん。
何があっても、もう。

七瀬くんに嫌われるようなこと、したくないんだから。



「モモ、なんで避けんの」



「別にっ、避けてないよ」



あたしは、相川くんから目を逸らしてそう答える。

今は、これが精一杯。

相川くんの顔を見ちゃいけない気がしたから。



「嘘つけ。俺が好きって言ったからだろ」



「……っ」



…そうだよ。そうだよ、相川くん。

相川くんがあたしに好きって言った日から、相川くんをやたらと意識し始める自分がいたんだよ。

そんな自分が嫌で仕方なくて。
だから今、相川くんの顔も見れないんだよ?

< 147 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop