言えよ、俺が欲しいって。
「モモ」
相川くんに名前を呼ばれて、赤くなっていた顔を隠している右腕を突然握られた。
「さっ、触らないで!」
その手をパシッと振り払う。
もう、自分の気持ちに嘘はつきたくないんだもん。
七瀬くんじゃないと、嫌だもん。
何があっても、もう。
七瀬くんに嫌われるようなこと、したくないんだから。
「モモ、なんで避けんの」
「別にっ、避けてないよ」
あたしは、相川くんから目を逸らしてそう答える。
今は、これが精一杯。
相川くんの顔を見ちゃいけない気がしたから。
「嘘つけ。俺が好きって言ったからだろ」
「……っ」
…そうだよ。そうだよ、相川くん。
相川くんがあたしに好きって言った日から、相川くんをやたらと意識し始める自分がいたんだよ。
そんな自分が嫌で仕方なくて。
だから今、相川くんの顔も見れないんだよ?