言えよ、俺が欲しいって。
「なに?」
「七瀬くん…?どうしたの?」
いつもとは、違う意味でドキドキしながら七瀬くんに聞く。
なんで、こんなに怒ってるんだろう、七瀬くん…。
あたし、きっと…自分で気づかないうちに何かしちゃったんだ。
「別にどうもしてないけど。白咲の方こそなに?俺に用?」
七瀬くんはそんなこと言うけど。
…違うよ。怒ってるじゃん、七瀬くん。
「うそ…七瀬くん、凄い怒ってるよ」
あたしの言葉がまたいけなかったのか。
イラッとした顔をして、もっと酷くなってしまった。
「うるさい。俺に話しかけないで」
そんなことを言われる始末。
なんで?どうして?
そんな疑問しか浮かばなくて。
七瀬くんは、あたしを置いてスタスタ歩いていくし。
ジワッと何かが込み上げてくる。
…泣いちゃダメ。