言えよ、俺が欲しいって。
今すぐにでも零れそうになる涙を必死に我慢しながら廊下に突っ立っていると、後ろから肩をポンと叩かれた。
「桃華?」
「みっ…美結ちゃんっ…」
いつだってあたしを助けてくれるのは美結ちゃんだ。
あたしは、美結ちゃんに思いっきり抱きつく。
すると、美結ちゃんは多少声を上げたけれど最終的には抱きしめ返してくれた。
美結ちゃん、大好き。
「桃華、話し聞くよ?」
昼休みにもあたしの話を聞いてくれたのに…。
「もうあたし…七瀬くんじゃなくて、美結ちゃんにするっ」
「はぁ?」
もうやだ。
何も考えたくないもん。
美結ちゃんなら、女の子のでもいいもん。
「ちょっと…そろそろ、離れて?」
美結ちゃんにそう言われてハッと我に返る。
ここ、学校の廊下だった。
周りを見れば、あたしたちをジロジロ見てる人たち。
ごめんなさいっ。