言えよ、俺が欲しいって。


あたしのそんな思いは届くわけもなく。

ピシャッと乱暴に閉められた教室の扉。


うわぁ…寂しいよ、1人でこの量は厳しい。



「……やろう」



ケーキに釣られたのはあたしだし。
了承したのはあたしだもん…。

やるしかないよね。


シャーペンを持って、プリントを見ながら名簿に印をつけていく。



「………、」



結局、すぐに飽きてしまって。
クルクルとシャーペンを回す。


名簿の紙の空欄にシャーペンを走らせる。



“七瀬 南央”



「もう、帰ったのかな、」



昨日の今日で会えるわけない。

でもそう思わずにはいられない。


好きだもん、ちゃんと。

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