言えよ、俺が欲しいって。


靴を履き替えると、また。
相川くんはあたしの手を取って歩き出す。



「っ、」



や、やばい…めちゃくちゃ見られてる。
相手は相川くん。
学校のモテ男だもん。


それより、本当にどこ行くの……?



「ちょっ……相川くんっ……」



出来るだけ、小さな声で相川くんを呼ぶ。
聞こえてないのか、ただ無視してるだけなのか分からないけど返答なし。


しょうがなく、相川くんに引っ張られながら廊下を歩く。
視線が痛すぎ。



どこまで行くの……。


そんなことを思ってため息をつく。


相川くんに連れられるまま、廊下の曲がり角を曲がった時。



「……っ、」



ちょうど七瀬くんが通り過ぎた。


目……合った気がする。


でもすぐに逸らされ、相川くんは止まる気配もなく歩き続ける。

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