言えよ、俺が欲しいって。
「す、すいません……人違いでした……はは」
うっそー!?
凄い恥ずかしいんだけど。
カァァッと顔を赤らめて呆然と立ち尽くすあたしの後ろから、ククッと聞き覚えのある笑い声が聞こえる。
「なにしてんの、白咲」
「なっ…七瀬くんっ」
背中を壁につけて、口元を手で隠しながら笑う七瀬くん。
不覚にもその姿にキュンときた。
「俺になんか用?」
七瀬くんはあたしに近づいてそう言う。
まって。思ってた七瀬くんと違う。
“俺に関わらないで”
そう言ったのは、紛れもなく七瀬くんだよね……?
「用がないなら行くけど」
「七瀬くんは……っなんなんですか…」
はぁ?とでも言いたげな七瀬くんの表情。
そりゃそうだ。
あたし自身何言ってるのかわかんない。