言えよ、俺が欲しいって。
ダラダラ過ごしていると、いつの間にか約束の時間。
浴衣を着て、家を出る。
きっと白咲はもう家を出てるはず。
「あっ、七瀬くん!」
ピンク系統の浴衣を着て、髪型もバッチリ。
いつもはしない化粧もしていて。
「気合い入ってるね」
「当たり前です!七瀬くんは……相変わらずかっこいいね」
目を伏せて頬を少し赤くしてそう言う。
照れるくらいなら、言わなければいいのに。
白咲に、「行こう」と言って歩き出す。
歩いているうちに、だんだん人が多くなってきて。
「な、七瀬くん……まって、」
小さい白咲は、人混みに飲み込まれる。
本当、迷惑。
溜息をつきながら、俺はだんだん離れていく白咲の手を掴んだ。