言えよ、俺が欲しいって。
「何か食べたいのある?」
話を逸らすように白咲にそう言う。
俺、結構焦ってる。白咲相手に。
なんで今日に限って、そんな格好してくんの。
そんなこと思ってしまってる自分に溜息。
「わたあめ!かな」
手も小さくて。キラキラ目を輝かせる白咲は幼い。幼稚園児?
でもそこがまた、何だか放っておけなくて。
そんなこと思ってしまってる自分にまた腹立つんだけど。
「七瀬くん?」
俺の顔を覗き込むように見てくる白咲。
あー、だから、やめてって。
「どうしたの?」
「何でもない。わたあめ買ってこよ」
繋いだままの手を引っ張って歩き出した時。後ろから、白咲を呼ぶ声が聞こえた。