言えよ、俺が欲しいって。


「モモ、今七瀬のこと考えてただろ」



いきなり、相川くんに図星をつかれて固まる。



「……どーしても勝てねーんだな」



相川くんはそう言うけれど。
勝てないも何も、七瀬くんはあたしのことを好きじゃないと思うんだ。

だからずっと片思いのままなんだよ。


相川くんに逃げようとしたこともあったけれど。
そんなの相川くんに申し訳ないから。



「嬉しかったよ、相川くんの気持ち」



あたしが出来ることはもう、なくて。



「ありがとう」



この言葉さえ、言うべきなのか迷ったけれど。



「バーカ」



笑って優しくあたしの頭を撫でる相川くん。

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