言えよ、俺が欲しいって。



バカ。

バカ、七瀬くんのバカ。



真っ暗な空にむかって上がっていく小さな光。

ドォン!と大きな音を立てて綺麗な花を空に咲かせる。



「わぁ、きれいー……」



この花火、七瀬くんと見たくて今日誘ったのに。
肝心な本人が隣にいない。



「なぁ、モモ」



不意に、相川くんに名前を呼ばれて返事をする。



「好きだ」



花火の音でうるさいはずなのに。
その言葉だけが、やけに鮮明に聞こえてきて。

ドクンッと胸が弾んだ気がした。



「うん……」



でもあたし、やっぱり、


七瀬くんがいいんだ。

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