言えよ、俺が欲しいって。
「あ〜、暑いなあ」
いくら言いたくなくても、この暑さだとつい口から出てしまう。
あたしは、廊下に出てロッカーの中に教科書がないか探す。
あ〜、ダメだ。終わった!教科書がない。
しかも、化学の先生と来たらこれはもう終わりだ。
化学の先生は、うちの学校の教頭もしていてものすごく怖いと有名なんだ。
答えを間違えるだけで怒られるとか。
そんなの、仕方ないのにね!?
そんなことを考えながら、諦めまいとロッカーを漁っていると…。
「何してんの?」
「えっと、教科書探してるんです」
後ろから、そんな声が聞こえてきて。
多分、あたしに向けられた言葉だよね?
あたしは、振り向きもせずにそう答える。