言えよ、俺が欲しいって。


「なんの教科書?」



「化学です!」



「バカなの?もう諦めて、怒られに行きなよ。授業まで遅れたら、それこそ終わりだよ」



このやけに、透き通る綺麗な声と。
そんな声とは裏腹にめちゃくちゃ毒舌な言葉。

あれ?この声ってまさか……。



「白咲、ほかのクラスの人に借りるって考えはないの?」



「七瀬くん!教科書貸してください!」



「はぁ?やだ」



バッと振り向いて、さっきからあたしにグサグサと言葉を浴びせてくる本人にそう言った。



な、七瀬くんだ……!

ラッキー!!

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