言えよ、俺が欲しいって。
「そんな嬉しそうな顔してる暇ないと思うんだけど」
「えっ」
廊下にある時計を見れば、あと3分。
あぁ、やばい。あたしの人生終わったかもしれない。
「……待ってて」
七瀬くんはそう言うと、少し駆け足で走っていった。
待ってて……?
も、もしかすると…もしかする!?
20秒くらいロッカーの前で立っていると、七瀬くんが教科書を片手に走って戻ってきた。
「終わったら、速攻返して。次、化学だから」
そう言って、あたしに渡した七瀬くんの教科書。
あぁ……。
「クラクラしちゃう……」
「熱中症?」
違う。違うよ、七瀬くん。