言えよ、俺が欲しいって。





「桃華、遅れるかと思ったよ〜」



「へへっ、ごめんね!」



授業開始ギリギリで化学室に着いたあたし。化学室での授業は、席が決まっていなくてそういうとこだけは適当な先生だ。

あたしは、迷わず美結ちゃんの隣に座った。

さっきまでのやり取りを思い出すと、胸がポカポカする。
でも、同時に苦しくもなる。



「なに、その顔」



「えっ?」



美結ちゃんは、あたしの顔を見るなり眉間に皺を寄せてそう言った。

ふ、普通の顔だよ!いつも通りだよ!?

< 59 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop