言えよ、俺が欲しいって。
*
「桃華、遅れるかと思ったよ〜」
「へへっ、ごめんね!」
授業開始ギリギリで化学室に着いたあたし。化学室での授業は、席が決まっていなくてそういうとこだけは適当な先生だ。
あたしは、迷わず美結ちゃんの隣に座った。
さっきまでのやり取りを思い出すと、胸がポカポカする。
でも、同時に苦しくもなる。
「なに、その顔」
「えっ?」
美結ちゃんは、あたしの顔を見るなり眉間に皺を寄せてそう言った。
ふ、普通の顔だよ!いつも通りだよ!?