言えよ、俺が欲しいって。
「顔になにかついてる!?」
あたしは、ペタペタと両手で自分の顔を触る。
嘘!もしかして、何かつけたまま七瀬くんと話してたの!?
そう思いながら必死にペタペタするけれど、手には何もつかない。
「違う違う。そういうことじゃなくて。笑顔になったり悲しそうな顔したり騒がしいってこと!」
「し、失礼な……」
“七瀬くんの事考えたら、止まらないんだよ”
美結ちゃんにそう言うと、美結ちゃんは
「きも」
なんて言って、あたしをあしらうけど。
でも、本当なんだもん。
大好きが止まらなくて。
まだ手に持っている教科書を見てそう思う。大好きだなーって。切実に。