言えよ、俺が欲しいって。


「俺に好きな人?いるわけないじゃん。考えてみなよ」



「七瀬くんに好きな人がいたら……やだ!」



「……そういうことじゃなくて。俺に好きな人いたら、今頃彼女いるでしょ」



その余裕ぶった顔も口調もどこまでもかっこよくて。
言ってることは、自意識過剰なんだけれど。

でも、好きなんだ。そういうところが、ものすごく。

頭も悪くて語彙力もないあたしだから、この想いどうやって伝えればいいのかさえ分からないけれど。



「好きだなあ」



「いつまで着いてくるの?」



気づけば、あたしの家が後ろの方に。

あっ、あれ!?早いよ!
七瀬くんにバカにされて終わっちゃった……。



「……七瀬くんの家まで送ります!」



「あのさ……。俺の家、もう通り過ぎたから」



「えっ?嘘!」



だって前!七瀬くんがあたしを家まで送ってくれた時、あたしの家通り過ぎたし…だから、しょうがなく送ってくれたんだと思ったから……。

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