言えよ、俺が欲しいって。


周りに高校生がいないか確認してビクビクしながら、映画館へ入る。



「なんでそんなビクビクしてんだよ?」



「だ、だって…高校生に見られたらどうするの?」



あたし、明日の学校フルボッコ。
集団リンチだと思うんだ。
女の子なんかに見つかったら余計面倒くさい。



「俺は別にいーけど」



相川くんは、あたし以外の女の子と何回も遊んでるもんね。
だから、あたしが今日だけ隣にいることに気づかれても何とも思わないもんね。

まーた相川はほかの女子連れてるよー。くらいしか言われないもんね!!


でもあたしは。
もし、七瀬くんに見つかったらどうしようとか。
付き合ってもないのに変な罪悪感…。

あ…もう映画館入っちゃったのに、また嫌な気分。

戻りたいな…。



「もっと軽く考えろって」



相川くんはそう言ってあたしの隣に座る。
今日はあまり混んでおらず、人も少ない。
時間も時間なのかな。


あたしは、座って美結ちゃんの言葉を思い出す。

このままじゃ、いつになっても彼氏できない。かー。


たしかに、そうなのかなぁ?

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