言えよ、俺が欲しいって。


「…相川くんは、なんで手を繋ぐの?」



ふと、疑問に思った。
別にあたしのことなんてどうも思ってないくせに。

なんであたしの手を握るの?



「本気で聞いてんの?」



すると、相川くんは真剣な顔でそういう。

ドキッとした。相川くんの真剣な顔に。



「…相川くん?」



相川くんの様子がおかしい。
目が逸らせない。
握られた手は、さっきよりも強くなっていて。



「え、映画見ようよ!」



あたしは、相川くんから目を逸らして映画に集中しようとするけれど。

相川くんに、頭をグイッと引き寄せられる。



「えっ!」



そして、唇に感じる柔らかい感触。

ど…どういうこと?

何が起こってるの?


いきなりのことで頭が思考停止中。



「んっ…」



う、うそ…もしかして、キスされてる!?



「…っ、はぁっ」



やっと離れた唇。

ひどい。

ひどいよ、相川くん。


なんで、どうして。

< 90 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop