言えよ、俺が欲しいって。


「なんでっ…なんでこんなこと…」



ポタポタと頬に流れる涙。
意味わかんない…。
どうしてキスなんか…。

いきなりすぎて訳が分からなくて頭が追いつかない。



「ふぅっ…うぇっ…」



「モモ」



泣きじゃくるあたしへ手を伸ばす相川くんの手をあたしは振り払った。



「触らないで…!」



嫌い。相川くんなんか、嫌いだ。


あたしは、キッと相川くんを睨むと映画館を飛び出した。

映画なんてもう関係ない。
いくら見たい映画だったとしても関係ない。

もう、嫌い。
大っ嫌い。

やっぱり、相川くんとデートなんてしなければよかった。


もう、会いたくもない。
顔も見たくもない。


いい人かもって思ってたのに。
どうして、あたしにキスなんかするの。

あたしのことなんて、なんとも思ってないくせに。

初めてだったのに。
大切な、ファーストキスだったのに。

< 91 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop