言えよ、俺が欲しいって。
「うっ…うぇぇん…」
人通りの少ない道で、泣きじゃくる。
泣きたくないのに、こんな所で。
でも、悔しくて、悲しくて。
涙が止まってくれない。
なんで。どうして。
そんなことしか思い浮かばない。
相川くんのバカ。大嫌いだ。
バカバカ…!!
「白咲?」
道のど真ん中で泣いていると、後ろから声が聞こえた。
反射的に振り向く。
「っ、七瀬くん」
「どうしたの?」
七瀬くんは、何も言わないあたしを不思議に思ったのか近づいてくる。
「はっ?泣いてんじゃん」
そう言って、あたしの顔面を袖で荒く拭く。
拭き方なんて関係ない。
七瀬くんだ。
目の前に、大好きな人がいる。
っ、七瀬くんだ…っ…!!
あたしは、勢いのあまりせっかく顔を拭いてくれてる七瀬くんに抱きついてしまった。
「わっ…ちょっ…」
「うっ…ぅっ…」
「抱きついていいなんて言ってないんだけど。ちょっと、服濡れるじゃん」
ごめんね、七瀬くん。
でもあたし、今凄く七瀬くんに会いたかったよ。